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【3分で理解】稼働率の計算をわかりやすく|直列・並列と練習問題5問

結論:直列は「掛け算」、並列は「1から引く」で解ける

装置1台の稼働率は、MTBF ÷ (MTBF + MTTR) で求めます。
そして複数の装置がつながったシステムでは、直列なら A×B、並列なら 1-(1-A)×(1-B)。
直列は「全部そろって動いて初めて機能する」、並列は「どれか1つ動けばOK」——この違いが、そのまま公式の形になっています。
本記事では、MTBF・MTTRの意味から組み合わせ構成の解き方まで、計算例と練習問題で手を動かしながら押さえていきます。

今回は、ITパスポートと基本情報技術者試験でほぼ毎年出題される「稼働率の計算」を、MTBF・MTTRの意味からしっかり解説していきます。

「公式は覚えたのに、問題になると解けない」「直列と並列、どっちが掛け算だったか毎回迷う」——稼働率はこの相談が本当に多い分野です。ただ、暗記ではなくなぜその式になるのかさえ分かってしまえば、公式を忘れても自力で組み立て直せます。計算問題は一度理解すれば確実な得点源になるので、じっくりいきましょう。

この記事でわかること

・MTBFとMTTRの意味と、取り違えない覚え方
・稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)になる理由と計算手順
・直列(掛け算)と並列(1から引く)の公式が、なぜその形になるのか
・試験で最も差がつく「直列+並列の組み合わせ構成」の解き方
・計算過程つきのオリジナル練習問題5問


1. MTBFとMTTRとは?稼働率の土台になる2つの指標

稼働率の計算は、いきなり「0.9」「0.8」といった数値が問題文で与えられることもありますが、その数値自体を求めさせる問題も頻出です。まずはその土台になるMTBFとMTTRから整理します。


MTBF(平均故障間隔)とは

MTBF(Mean Time Between Failures)とは、故障せずに動き続けていた時間の平均です。日本語では「平均故障間隔」と訳されます。

「故障と故障の」という名前のとおり、装置が元気に稼働していた時間を指します。この値が大きいほど故障しにくい装置ということになります。


MTTR(平均修復時間)とは

MTTR(Mean Time To Repair)とは、故障してから復旧するまでにかかった時間の平均です。日本語では「平均修復時間」と訳されます。

こちらは止まっていた時間なので、値が小さいほど早く直せる装置ということになります。MTBFは大きいほど良く、MTTRは小さいほど良い——評価の向きが逆である点は押さえておきましょう。


具体例|稼働と故障の記録から平均を出す

ある装置を観測したところ、次のように稼働と修復を繰り返したとします。

回数稼働していた時間修復にかかった時間
1回目480時間20時間
2回目460時間12時間
3回目500時間28時間

それぞれ平均を取るだけです。

MTBF = (480 + 460 + 500) ÷ 3 = 480時間
MTTR = (20 + 12 + 28) ÷ 3 = 20時間

この装置は「平均480時間動いては、平均20時間止まる」というリズムを繰り返している、というわけですね。


講師視点|MTBFとMTTRを取り違えないコツ

僕が初学者に説明する時は以下のような伝え方をしています。

ポイント

・頭文字で覚える(B=Between=故障と故障の「間」=動いている時間/R=Repair=修理している時間)
・レーシングカーのイメージ(コースを走れている時間がMTBF、ピットインしている時間がMTTR)
・オフィスのプリンタ(気持ちよく印刷できている期間がMTBF、紙詰まりを直している時間がMTTR)

「MTBFは故障している時間の平均」という誤解をする方が結構多い印象です。Failures(故障)という単語が入っているので引っ張られやすいのですが、あくまでMTBFは動いている時間、MTTRは止まっている時間

ここを逆に覚えてしまうと、この後の計算がすべてひっくり返ってしまうので、頭文字のBとRで固定しておきましょう。


2. 稼働率の求め方|MTBF÷(MTBF+MTTR)


なぜこの式になるのか

稼働率とは、全体の時間のうち、装置がきちんと動いていた時間の割合です。式にすると次の形になります。

稼働率 = MTBF ÷ ( MTBF + MTTR )

分母の (MTBF + MTTR) は「動いていた時間 + 止まっていた時間」、つまり観測していた全期間です。その全期間のうち、分子の MTBF = 動いていた時間がどれだけの割合を占めるか。それがそのまま稼働率になる、というだけの話です。

公式として丸暗記するより、動いていた時間 ÷ 全部の時間と理解しておくほうが、応用問題でも迷いません。


数値例で計算してみる

先ほどの装置(MTBF = 480時間、MTTR = 20時間)で計算してみます。

稼働率 = 480 ÷ ( 480 + 20 ) = 480 ÷ 500 = 0.96(96%)

稼働率は0〜1の小数か、100を掛けたパーセントで表します。試験では選択肢の形式に合わせて答える必要があるので、解答する直前に「小数か%か」を必ず確認してください。0.96と96%は同じ値ですが、選択肢を見誤ると失点します。

そして以降の直列・並列の計算では、この装置1台ごとの稼働率を材料にしてシステム全体の稼働率を求めていきます。


稼働率と故障率は別物

混同しやすいのが「故障率」です。稼働率が「動いていた割合」なのに対し、故障していた割合は 1 - 稼働率 で求めます。先ほどの装置なら 1 - 0.96 = 0.04(4%)ですね。

この「1から引く」という操作は、後半の並列システムでそのまま使う考え方なので、ここで慣れておくと後がラクになります。


3. 直列システムの稼働率|なぜ掛け算になるのか

直列システムとは、すべての装置が動いて初めて機能するシステムです。1台でも止まればシステム全体が停止します。

公式はシンプルに掛け算です。

直列の稼働率 = A × B

なぜ掛け算なのか。稼働率は「その装置が動いている確率」と読み替えられます。Aが動いていて、かつBも動いている確率を求めたいので、それぞれの確率を掛け合わせる、というわけです。「AもBも」の条件は掛け算、と覚えておきましょう。

実際に計算してみます。装置A(0.9)と装置B(0.8)が直列につながっている場合。

0.9 × 0.8 = 0.72(72%)

注目してほしいのは、全体の稼働率が、一番低い装置(0.8)よりさらに下がっている点です。1未満の数を掛け合わせるので当然なのですが、直列はつなげばつなぐほど全体が弱くなる構成だと理解しておくと、計算結果の検算にも使えます。


4. 並列システムの稼働率|なぜ「1から引く」のか

並列システムとは、どれか1つでも動いていれば機能するシステムです。予備を用意しておく冗長構成をイメージしてください。

公式はこの形です。

並列の稼働率 = 1 -(1-A)×(1-B)

複雑に見えますが、やっていることは単純です。並列システムが止まるのは全部の装置が同時に壊れたときだけ。そこで、まず「全部壊れる確率」を求めて、それを全体(1)から引いています。

手順を分解すると3ステップです。

① Aが壊れている確率 = 1 - 0.9 = 0.1
② Bが壊れている確率 = 1 - 0.8 = 0.2
③ 両方同時に壊れる確率 = 0.1 × 0.2 = 0.02

あとは全体から引くだけです。

1 - 0.02 = 0.98(98%)

0.9と0.8の装置を並べただけで、全体は0.98まで上がりました。並列は台数を増やすほど全体が強くなる構成です。直列とちょうど逆の性質になっている、という対比で覚えると混乱しません。


直列と並列の比較

項目直列システム並列システム
機能する条件すべての装置が動いているどれか1つでも動いている
公式A × B1 -(1-A)×(1-B)
計算例(0.9と0.8)0.720.98
台数を増やすと稼働率は下がる稼働率は上がる
実際の構成例処理を順に通す業務システム冗長化したサーバ・電源

ポイント

・直列=「AもBも動く」=掛け算、答えは一番弱い装置より小さくなる
・並列=「どれか動けばOK」=全部壊れる確率を1から引く、答えは一番強い装置より大きくなる
・計算後は「直列なら下がったか、並列なら上がったか」で検算できる


講師視点|「全部そろって動く/どれか動けばOK」の掴み方

僕が初学者に説明する時は以下のような伝え方をしています。

ポイント

・直列は鎖(1つの輪が切れたら鎖全体が切れる。弱い輪に引きずられる)
・並列はスペアタイヤ(1本パンクしても、予備があれば走り続けられる)
・直列はリレー競走(全員が走り切って初めてゴール)、並列は複数レーンで同じ荷物を運ぶイメージ

「並列だから稼働率を足せばいい」と考えてしまう誤解が非常に多い印象です。0.9 + 0.8 = 1.7 のように1を超えた時点で確率としてあり得ないので、その場で気づけます。並列は足すのではなく、壊れる確率を掛けてから1から引く——この順番を口に出して確認する癖をつけておきましょう。


5. 組み合わせ構成の解き方【試験で差がつく】

試験で差がつくのは、直列と並列が混ざった構成です。とはいえ新しい公式は出てきません。並列部分を先に1つにまとめてから、直列として掛ける——この手順を守るだけです。


手順は2ステップ

① 並列になっている部分を、並列の公式で計算して1台の装置に置き換える
② 置き換えた結果を使って、全体を直列の公式(掛け算)で計算する

ポイントは必ず並列が先、直列が後という順番です。逆にやると答えが合いません。


計算例

装置A(0.9)の後ろに、装置B(0.8)と装置C(0.8)が並列でつながっている構成を考えます。

STEP 1|並列部分(BとC)をまとめる
1 -(1-0.8)×(1-0.8) = 1 -0.2 × 0.2 = 1 - 0.04 = 0.96

STEP 2|Aと0.96の直列として掛ける
0.9 × 0.96 = 0.864(86.4%)

これで完了です。図に描いて並列部分を丸で囲み、「ここは0.96の装置1台」と書き込んでしまうと、複雑な構成でもミスが激減します。


6. よくある間違い4パターン

採点していて目立つ間違いは、だいたい次の4つに集約されます。

間違い正しい考え方
並列で稼働率を足してしまう足すと1を超えることがある。壊れる確率を掛けて1から引く
組み合わせ構成で直列から計算する並列部分を先にまとめて1台に置き換えてから直列
MTBFとMTTRを取り違えるB=Between(動いている)、R=Repair(直している)
稼働率と故障率を混同する故障率 = 1 - 稼働率。問われているのがどちらか読む

もう1つ加えるなら、小数の掛け算での桁ミスです。0.1 × 0.2 = 0.02 を 0.2 と書いてしまうケースは本番でも起こります。並列の計算は「小さい数どうしの掛け算になる」と意識しておくと防げます。


7. 試験対策|練習問題で確認しよう

以下は、IPA試験の出題傾向を踏まえて作成したオリジナルの練習問題です(IPA公式の問題そのものではありません)。本番形式に慣れるための練習として活用してください。実際の公開問題はIPA公式サイトで確認できます。


練習問題①(ITパスポートレベル)

(問題) ある装置のMTBFが475時間、MTTRが25時間であるとき、この装置の稼働率はいくらか。

ア.0.05 イ.0.90 ウ.0.95 エ.0.98

👉 正解を見る

正解:ウ(0.95)

解説:稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR) に当てはめます。分母は 475 + 25 = 500。よって 475 ÷ 500 = 0.95 です。アの0.05は故障率(1 - 0.95)にあたる値で、「稼働率」と問われているのに故障率を答えてしまう典型的なひっかけです。


練習問題②(ITパスポートレベル)

(問題) 稼働率0.95の装置Aと稼働率0.90の装置Bが直列に接続されている。このシステム全体の稼働率はいくらか。

ア.0.05 イ.0.855 ウ.0.900 エ.0.995

👉 正解を見る

正解:イ(0.855)

解説:直列なので単純に掛け算します。0.95 × 0.90 = 0.855。直列では全体の稼働率が一番低い装置(0.90)より必ず小さくなるため、ウやエのように0.90以上の選択肢は計算前に消せます。


練習問題③(基本情報レベル)

(問題) 稼働率0.9の装置2台が並列に接続されている。このシステム全体の稼働率はいくらか。

ア.0.81 イ.0.90 ウ.0.98 エ.0.99

👉 正解を見る

正解:エ(0.99)

解説:まず1台が壊れている確率は 1 - 0.9 = 0.1。2台とも壊れる確率は 0.1 × 0.1 = 0.01。システムが止まるのはこのときだけなので、1 - 0.01 = 0.99 です。アの0.81は 0.9 × 0.9 の結果で、並列なのに直列の公式で計算してしまった場合に選んでしまう選択肢です。


練習問題④(基本情報レベル・組み合わせ)

(問題) 稼働率0.8の装置Aと稼働率0.9の装置Bが並列に接続され、その後ろに稼働率0.95の装置Cが直列に接続されている。このシステム全体の稼働率に最も近い値はいくらか。

ア.0.684 イ.0.855 ウ.0.931 エ.0.980

👉 正解を見る

正解:ウ(0.931)

解説:並列部分から先に計算します。1 -(1-0.8)×(1-0.9) = 1 -0.2 × 0.1 = 1 - 0.02 = 0.98。これを1台の装置とみなし、Cと直列で掛けます。0.98 × 0.95 = 0.931。エの0.98は並列部分だけで計算をやめてしまった値、アの0.684は 0.8 × 0.9 × 0.95 とすべて直列として掛けてしまった値です。


練習問題⑤(応用・逆算)

(問題) 稼働率0.9の装置2台が並列に接続され、その後ろに装置Xが直列に接続されている。システム全体の稼働率が0.9702であるとき、装置Xの稼働率はいくらか。

ア.0.95 イ.0.96 ウ.0.97 エ.0.98

👉 正解を見る

正解:エ(0.98)

解説:並列部分は 1 -(1-0.9)×(1-0.9) = 1 - 0.01 = 0.99。全体はこれとXの直列なので、0.99 × X = 0.9702 という式が立ちます。よって X = 0.9702 ÷ 0.99 = 0.98。逆算問題でも「並列を先にまとめる」手順は同じで、最後の掛け算を割り算に置き換えるだけです。


8. 実務ではどう使われている?

試験対策だけの話ではなく、稼働率は現場のサービス品質を測る共通言語として日常的に使われています。

代表的なのがSLA(サービス品質保証)です。クラウドサービスの契約書に「月間稼働率99.9%を保証」と書かれているのを見たことがある方もいるはずです。

99.9%は月あたり約43分の停止に相当し、99.99%になると約4分。この差を埋めるために、サーバや電源、通信回線を並列(冗長構成)にして全体の稼働率を引き上げる、という設計が行われます。

一方で、処理が順番に流れるシステムは自然と直列になり、どこか1か所の弱い部分が全体の足を引っ張ります。「どこを冗長化すれば全体の稼働率が最も上がるか」を判断する場面で、この記事の計算がそのまま使われている、というわけですね。


9. まとめ|一言で覚えるポイント

ポイント

・稼働率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)(動いていた時間 ÷ 全部の時間)
・直列は掛け算(A×B)、並列は1から引く(1-(1-A)×(1-B))
・組み合わせ構成は「並列を先にまとめて1台にする → 直列で掛ける」

稼働率の計算は、公式さえ正しく使い分けられれば確実に1点取れる分野です。特に組み合わせ構成は手順が決まっているので、パターンとして手を動かして覚えてしまうのが最短ルートになります。

余力があれば、可用性・信頼性を含めた信頼性設計全体の考え方まで広げておくと、応用情報以上でも通用する土台になります。

それではまた!

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ユウイチ

20年間ソフトウェアエンジニアとして働いた後、フリーランスを経て現在は1人社長として活動。 プログラミング講師やIT教育を中心に活動しながら、趣味でゲーム開発やシナリオ作成にも挑戦中。どちらも「創ることを通じて人を笑顔にしたい」という想いから始めた、大切なライフワーク。 「創造と教育で、人生に迷う人の“自由な一歩”を支援」を理念に発信中。

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