
結論:年商2000万円は「単価×役割×収入源の数」で設計するもの
フリーランスエンジニアの年収2000万円は、到達している人がいる一方で、通常の案件をこなし続けるだけで自然に届く水準ではありません。
年商2000万円は月商にすると約167万円。稼働時間を増やして埋められる差ではなく、単価そのものを上げるか、収入源を増やすかのどちらかになります。
そして年商2000万円は「手元に2000万円残る」という意味ではありません。経費・税金・社会保険料を引いた後にいくら残るかまで含めて、はじめて目標として機能します。
「フリーランスエンジニアで年収2000万円」という数字を見て、現実味があるのか、それとも一部の人だけの話なのか、判断がつかないまま調べている方も多いはずです。
僕自身、エンジニア歴20年でフリーランスとして独立し、今は法人化して1人社長をやっています。単価は初案件の月78万円から少しずつ上げてきて、現在は月104万円の案件で稼働中です。年換算で約1,250万円。2000万円には届いていません。
案件の合間にIPA資格取得の個別サポートもやっていますが、それでもまだ2000万円には届いていません。
だからこそ、この記事は「達成しました」という成功談ではなく、2000万円を目指している途中の人間から見た、現実的な景色として書きます。届いていないからこそ、何が壁になるのかは具体的に書けます。
※この記事は、現役フリーランスエンジニアの実体験をもとに書いています。

この記事でわかること
・フリーランスの「年収2000万円」が何を指すのか(会社員の年収との決定的な違い)
・年間売上2000万円以上のフリーランスが実際にどれくらいいるのか(公的調査データと出典)
・年収2000万円に届く人が持っている「役割」と「収入源の数」
・年商2000万円に到達する4つのルートと、月170万円の具体的な組み立て例
・売上2000万円から手元にいくら残るのか、税金・社会保険料・法人化の考え方
※筆者:ユウイチ(20年エンジニア→フリーランス→法人化)。組込み・産業用ネットワーク・車載・空調機器・IT研修講師まで、複数分野の案件を経験してきた実体験をもとに書いています。
フリーランスエンジニアの「年収2000万円」とは何を指すのか
最初にここを揃えておかないと、この後の話がすべてズレます。フリーランスの年収は、会社員の年収と同じ意味ではありません。
この記事の年収2000万円=年間売上(年商)2000万円
フリーランスの世界で「年収2000万円」と言うとき、その多くは経費を引く前の年間売上(年商)を指しています。この記事でもその意味で扱います。
つまり2000万円は、通帳に入ってくる金額の合計です。ここから機材費・通信費・書籍代などの経費が出ていき、さらに所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金が引かれます。
「年商2000万円」と「手取り2000万円」はまったく別の話です。この記事では、後半で手取りの考え方も扱います。
会社員の年収2000万円とは意味が違う
会社員の年収2000万円は、基本的に給与収入です。社会保険料は会社が半分負担していますし、パソコンも椅子も会社が用意します。案件が途切れる、という概念もありません。
一方でフリーランスの年商2000万円は、そこから仕事に必要なものをすべて自分で買い、社会保険料も全額自分で払い、案件が空く期間の生活費も自分で確保する必要があります。
同じ「2000万円」でも、残るお金の水準はまったく違うと考えてください。だからこそ、売上目標だけを見ていると足元をすくわれます。
年商2000万円は月商約167万円
目標は、月に落とし込むと一気に現実的になります。年間売上2000万円を達成するために必要な月平均売上はこうなります。
| 稼働期間 | 必要な月平均売上 |
|---|---|
| 12か月 | 約167万円 |
| 11か月 | 約182万円 |
| 10か月 | 200万円 |
案件の切り替え、体調不良、長期休暇を考えると、12か月フル稼働を前提にした計画は危険です。実際には11か月、つまり月182万円くらいを基準に置くほうが安全だと思っています。
ここで一度、自分の現在の月単価と比べてみてください。差が30万円なのか、100万円なのかで、取るべき手はまったく変わります。
「まずは年収1000万円を確実に超えたい」という段階の方は、そちらを先に固めるほうが近道です。単価と稼働の最適化だけで届く水準なので、別記事にまとめています。
まず1000万円を目指す方はこちら
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年収2000万円のフリーランスエンジニアはどのくらいいるのか
感覚論ではなく、公的な調査データで確認しておきましょう。
年間売上2000万円以上は回答者の1.9%
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2020」では、フリーランス・パラレルキャリア活動者568人のうち、経費控除前の年間売上が2000万円以上と回答した割合は1.9%でした。
この調査の収入設問は、世帯収入ではなく個人の収入を、経費を引く前の売上ベースで答える形式です。この記事の定義とちょうど一致します。
出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2020」
・白書2020 全文(PDF)
・発表プレスリリース
この数字の読み方に注意したい3つのこと
1.9%という数字は、そのまま鵜呑みにできるものではありません。読むときは次の3点を頭に置いてください。
① エンジニアだけの割合ではない
この568人には、クリエイティブ系、出版・メディア系、コンサルティング系など、さまざまな職種が含まれています。エンジニア・技術開発系はそのうちの一部です。「フリーランスエンジニアの1.9%が2000万円以上」とは読めません。
② 2019年10月時点の調査
調査期間は2019年10月23日〜11月24日。コロナ禍より前のデータです。市場環境も単価相場も、当時とは変わっています。
③ 協会のメルマガ・SNS経由のインターネット調査
有効回答601名(うちフリーランス・パラレルキャリア活動者568名)で、回答者は協会の情報に触れている層に寄ります。日本のフリーランス全体の縮図ではありません。
ポイント
・1.9%は「ごく少数だが確実に存在する」ことを示す数字
・エンジニア限定ではなく、全職種を含む集計
・年商2000万円は、案件を長時間こなして自然に届く水準ではなく、意図的に設計して取りにいく水準
【実体験】僕の現在地は月104万円・年換算1,250万円
自分の数字も正直に出しておきます。
僕が今稼働しているのは、Midworks経由の車載組込みプロジェクトマネジメント案件で、月104万円です。単純に12倍すると年換算で約1,250万円になります。
年商2000万円との差は約750万円。月に直すと約63万円です。
この63万円を「今の案件の単価を63万円上げる」で埋めるのは、正直かなり厳しい。だから僕自身、案件単価だけで積み上げる発想からは離れています。この感覚が、後半のルートの話につながります。
年収2000万円に届く人は「単価」より「役割と収入源の数」が違う
高い単価を取っている人を見ていると、技術力が突出しているというより、任されている範囲が広いという共通点があります。
高単価につながりやすいスキル領域
単価が上がりやすい領域には、はっきりした傾向があります。
単価が上がりやすい領域
・AI・機械学習
・データ分析、データ基盤
・AWS・Azure・GCPなどのクラウド
・セキュリティ
・大規模システムの設計・アーキテクチャ
・PM、テックリードなどの上流ポジション
ただし、この技術を学べば自動的に単価が上がる、という話ではありません。評価されるのは技術名そのものではなく、その技術で顧客の課題をどこまで解決したかです。
言語や技術領域ごとの単価差については、別記事で相場をまとめています。今の自分の立ち位置を確認したい方はこちらもどうぞ。
言語別の単価相場はこちら
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経験年数より「どこまで任せられるか」
「何年やれば2000万円」という基準はありません。同じ経験10年でも、市場価値はまったく違います。
分かれ目になるのはここです。
ポイント
・実装だけでなく設計まで担当できるか
・要件定義の段階から入れるか
・技術選定やアーキテクチャ設計を任されるか
・チームの技術面をリードできるか
・顧客に技術提案ができるか
上に行くほど、代わりがいなくなります。単価は技術力ではなく「代替の難しさ」で決まる、というのが20年やってきた実感です。
年数を増やすのではなく、今の案件で一段上の役割を取りにいく。これが単価を動かす一番の近道になります。
技術力だけでは足りない4つの力
年商2000万円の水準になると、技術以外の力が売上に直結してきます。
・営業力:案件を継続的に確保する
・交渉力:単価と契約条件を自分で動かす
・提案力:課題に対する解決策を示す
・収支管理力:売上・経費・納税を把握する
とはいえ、全部を1人で背負う必要はありません。案件探しと単価交渉はエージェントに任せて、税務は税理士に相談する。僕もそうしています。自分は価値を出せる仕事に集中したほうが、結果として売上は伸びます。
【実体験】月78万円から月104万円まで、効いたのは技術力だけではなかった
僕がこれまで受けてきた案件の単価を並べます。
・月78万円:PE-BANK経由の初案件。バーコードリーダーの組込みLinux開発
・月85万円:レバテックフリーランス経由の組込みLinux案件
・月92万円:PE-BANK経由・リモート併用のエアコン設計
・月80万円:Midworks経由の産業用ネットワークプロトコル案件
・月100万円:ギークスジョブ経由で受注したIT企業の新入社員研修講師
・月104万円:Midworks経由の車載組込みPM(現在稼働中)
ここで見てほしいのは、同じ組込みLinuxでも、月78万円の案件と月85万円の案件があったという点です。技術の中身はどちらも組込みLinuxで、僕のスキルもそう大きく変わっていません。
それでも7万円の差が出る。つまり単価は「自分のスキル」だけでなく「どの案件を、どの経路で取ったか」で変わります。
そして最新の月104万円は、技術者としてではなくプロジェクトマネジメントの立場で入っている案件です。担当範囲が広がったことが、そのまま単価に反映されました。

高単価案件をチェックする
「自分のスキルで、今いくらの案件が取れるのか分からない」
まずはそこを知らないと、2000万円までの距離も測れません。実務経験がある方なら、エージェントに希望条件を伝えるだけで、今の自分に付く単価は数日で見えてきます。
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年収2000万円に到達する4つのルート
月167万円を作る方法は、1つではありません。現実的なルートは4つあります。
ルート1:高単価案件1本で月167万円を取りにいく
専門性と上流工程の経験を武器に、単価の高い案件を継続して受注する方法です。
構造はいちばんシンプルですが、月167万円という単価はかなりの高水準です。特定領域の第一人者に近い立ち位置か、大規模プロジェクトの責任者クラスが求められます。
加えて、この形は1社に完全依存するという弱点を抱えます。契約が終わった瞬間に売上がゼロになるので、月167万円ちょうどで組むのではなく、余裕を持った設計が必要になります。
ルート2:メイン案件+サブ案件を掛け持ちする
いちばん現実的で、実際にいちばん多く選ばれているのがこの形だと思います。
平日はメイン案件に週5で入り、平日の夜や週末にサブ案件を回すやり方です。メイン案件120万円にサブ案件50万円を足せば、月170万円に届きます。
強みは、今のスキルのまま明日から動けることです。技術顧問のように人脈を待つ必要も、事業を立ち上げる時間も要りません。エージェントに「週末稼働の案件も見たい」と伝えるだけで、選択肢は出てきます。
ただし、はっきりした弱点が2つあります。
1つ目は、上限があること。時間を売っている以上、体力の限界がそのまま売上の限界になります。しかも体調を崩した瞬間、2本とも止まります。自分の時間はほぼ無くなると考えてください。
2つ目は、契約の問題です。ここは見落とされがちなので、先に確認してください。
フリーランス白書2020によると、秘密保持に関する項目が入った業務委託契約を締結した経験がある人は81.4%、競業避止義務に関する項目がある契約を締結した経験がある人は13.7%でした。つまり同業他社の案件を2本同時に受けると、契約違反になる可能性があります。
掛け持ちを考えるなら、まず今の契約書の競業避止条項と秘密保持条項を読み直すこと。話はそこからです。
この形は「2000万円に到達し続けるための構造」ではなく、実績と資金を作るための期間限定の手として捉えるのが現実的だと思っています。ここで貯めた実績が、後のルート3・4につながります。
ルート3:メイン案件+技術顧問を組み合わせる
週の大半をメイン案件に使いながら、空いた時間で複数社の技術支援を行う形です。
週1回の定例参加、技術選定へのアドバイス、採用面接への同席といった関わり方が中心です。稼働時間あたりの単価が高くなりやすく、1社への依存度も下がります。
ただし、はっきり書いておきます。技術顧問は、簡単になれるものではありません。
いちばんの理由は、顧問案件がほとんど公募されないことです。エージェントの案件検索に「技術顧問」が並ぶことはまずありません。入口は人脈か、過去の取引先からの声かけに限られます。
この傾向は調査データにも出ています。フリーランス白書2020では、最も収入が得られる仕事の獲得経路として「人脈」と「過去・現在の取引先」が合計で75.1%を占めており、この2つが上位である点は白書2018以降ずっと変わっていません。顧問案件は、その傾向がもっとも極端に出る領域です。
つまり技術顧問は、自分から取りに行くものというより、実績が溜まった人のところに来るものです。狙って最短で到達できるルートではない、という前提で見てください。
ルート4:案件収入+別の収入源で複線化する
案件以外の収入源を作る方法です。自分の稼働時間だけに売上を紐づけない形を目指します。
収入源の作り方は人によって違います。エンジニアが選びやすいのは、このあたりです。
収入源
・単発の登壇、短期の講座(実務経験がそのまま単価になる)
・技術記事や技術書の執筆(単価は低めだが実績と信用が残る)
・オンライン講座の販売(作り切れば稼働から切り離せる)
・資格取得や学習の個別サポート(月額で継続しやすい)
・ブログやメディアの運営(時間はかかるが資産型)
・チームでの受託開発(他のエンジニアと組んで規模を取る)
・小規模な直請け開発(メイン案件の隙間で回せる)
どれも共通しているのは、新しいスキルを一から習得するのではなく、今持っているものを別の形で売るという点です。
4つの中では立ち上がりに時間がかかりますが、長期的に2000万円を超えていける可能性があるのはこのルートだと思っています。事業として拡大できる余地があるからです。
【実体験】僕の複線化は、まだ入口に立ったところです
候補を並べましたが、僕自身が実際にやっているのはIPA資格取得のサポートです。ITパスポートや基本情報技術者試験を独学している方に、個別で対応しています。
1件あたりの単価は小さく、案件収入と並べられる規模ではありません。ただ、開発案件とは完全に切り離して動かせるので、案件の状況に左右されない収入になっています。
将来的にはアプリ開発やオンライン講座などでも収益化していきたいと考えております。
もう1つ、複線化とは少し違う形で効いているものがあります。研修講師です。
ギークスジョブ経由で受注したIT企業の新入社員研修講師・月100万円の案件がそれにあたります。開発案件ではなく、教える仕事です。それでも20年の実務経験が、そのまま単価になりました。
ただし正直に書くと、この講師案件はメイン案件そのものです。研修期間中は講師の仕事にフルで入るので、車載PMのような開発案件と同時には動かせません。副収入として上に乗せられるものではないんです。
複線化には2つの意味がある
収入源を増やすと言っても、実は2種類あります。
1つは、同時に走らせる副収入。僕の場合はIPA資格の個別サポートがこれです。案件と並行して動き、案件が途切れても残ります。ルート4が目指すのは本来こちらです。
もう1つは、メイン案件として選べる引き出しを増やすこと。研修講師はこちらです。同時には走りませんが、開発案件が途切れたときに「講師で月100万円」という別の選択肢を持てるのは、それ自体が強いリスク分散になります。
どちらも、新しいスキルを覚えたわけではありません。既に持っている実務経験と、教える側としての視点を、別の形で出しているだけです。
正直に書くと、僕はまだ2000万円に届いていません
ここまで4つのルートを書いておいて何ですが、僕自身はまだ年商2000万円に届いていません。
現在のメインは月104万円の車載組込みPM案件。そこにIPA資格の個別サポートを乗せている状態です。ルート4を選んではいるものの、副収入はまだ案件収入を補う規模には育っていません。入口に立ったところ、というのが正確な現在地です。
なぜこれを書くかというと、複線化は「始めればすぐ埋まる」ものではないからです。個別サポートは1件あたりの単価が小さく、積み上がるまでに時間がかかります。しかも案件が忙しい時期は、そちらに割ける時間が減ります。
ルート4の難易度を「中」としたのは、単価の壁がルート1より低く、人脈の壁がルート3より低いからです。時間の壁は、4つの中でいちばん高いと思ってください。
ちなみに僕は、開発案件を2本同時に持ったことはありません。ルート2の掛け持ちは経験がないので、そこも正直に書いておきます。開発案件を2本回している方の大変さは、体力面だけでも想像がつきます。
それでも僕がこの方向を選んでいるのは、案件が終わったときにゼロにならないからです。個別サポートは細くても残りますし、開発案件が見つからない時期には講師という選択肢があります。この「次の手がある」という状態は、単価を10万円上げるより価値がありました。
高単価案件をどうやって獲得するか
ルートが決まっても、案件が取れなければ意味がありません。獲得経路の話をします。
獲得ルートを1本に絞らない
案件の入口には、こういう選択肢があります。
案件の入口
・フリーランスエージェントを使う
・クライアントと直接契約する
・過去の取引先や知人から紹介を受ける
・実績やポートフォリオから問い合わせをもらう
・コミュニティや勉強会で人脈を広げる
1つに絞ると、その経路が細ったときに一気に苦しくなります。複数持てば条件を比較して選べる状態になり、それがそのまま交渉力になります。
エージェント経由で単価と条件を引き上げる
月150万円を超えるような案件は、公開されていないことがよくあります。エージェントが非公開で抱えているためです。
僕自身、単価が上がったタイミングはどれもエージェント経由でした。単価交渉を代わりにやってもらえるのも、精神的にかなり楽です。自分で「あと20万上げてください」と言うのは、思っている以上に消耗します。
相場を知らないまま交渉しても、有利な条件は引き出せません。
直請け・紹介の強みと、自分で背負うもの
直請けは仲介マージンが乗らない分、条件を調整しやすくなります。年商2000万円を狙う段階では、選択肢に入れる価値があります。
ただし、営業・契約・請求・トラブル対応まですべて自分の仕事になります。ここに時間を取られて開発の稼働が落ちると、本末転倒です。
エージェントと直請けを両方持ち、案件ごとに使い分ける。これが実務的にはいちばん現実的だと思います。
直請け案件の取り方はこちら
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フリーランスエンジニアの直案件の取り方|エージェント併用で消耗しない始め方
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年商2000万円の手取り・税金・社会保険料
ここからは、売上が伸びた後の話です。ここを見ずに走ると、納税のタイミングで詰みます。
売上2000万円がそのまま残るわけではない
年間売上2000万円から出ていくものを整理すると、こうなります。
まず業務に必要な経費。次に所得税と住民税、国民健康保険料と国民年金。条件によっては個人事業税と消費税・地方消費税も加わります。
注意したいのは、売上2000万円にそのまま所得税がかかるわけではないという点です。経費を引いて所得を出し、そこから青色申告特別控除や各種の所得控除を反映したうえで税額が決まります。
手元に残る金額を左右する要素
「年商2000万円なら手取りは◯◯万円」と一律に言えないのは、次の条件で結果が大きく動くからです。
ポイント
・必要経費の金額
・青色申告を適用しているか
・所得控除や扶養の有無
・年齢と加入している社会保険制度
・住んでいる自治体の国民健康保険料の算定方法
・個人事業税の課税対象になるか
・消費税の課税事業者かどうか
同じ売上2000万円でも、手元に残る金額は人によってまったく変わります。ネットで見かける「年収2000万円の手取り早見表」は、あくまで特定の条件を置いた場合の話だと考えてください。
消費税は「売上1,000万円超で課税事業者」だけ押さえる
消費税の判定は細かいルールがありますが、年商2000万円を目指す段階で押さえるべきは1点だけです。
年間の課税売上が1,000万円を超えると、原則として2年後から消費税の課税事業者になります。つまり年商2000万円を狙うということは、消費税の納税がセットで付いてくるということです。
インボイス制度の登録状況によっても扱いが変わります。判定の細部は国税庁の案内を確認するか、税理士に相談してください。
参考:国税庁「消費税について」
経費と青色申告の考え方
業務で使うパソコン、通信費、ソフトウェア、書籍などは経費として計上できる場合があります。
ただし、経費を増やせば手取りが増えるわけではありません。経費は実際に出ていくお金です。業務上必要な支出を漏れなく計上した結果として課税所得が下がる、という順番で考えるのが正しい理解です。
また、一定の要件を満たして青色申告を行えば、青色申告特別控除を受けられる場合があります。売上規模が大きくなるほど、控除の有無で残る金額の差は開きます。
参考:国税庁「事業所得の課税のしくみ」
参考:国税庁「青色申告特別控除」
経費として何をどこまで計上できるかは、別記事で詳しく整理しています。
経費率の考え方はこちら
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フリーランスエンジニアの経費割合は10〜30%が目安|売上別の計算例
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【実体験】売上が伸びた段階で、僕が法人化を選んだ理由
年商2000万円という水準を語るうえで、避けて通れないのが法人化です。
僕は個人事業主としてスタートして、その後法人化して1人社長になりました。理由は2つです。
1つ目は税金対策。個人事業主のままだと、所得が増えるほど税負担が重くなっていきます。法人という選択肢を持つことで、報酬の受け取り方を含めて設計できる幅が広がりました。
2つ目は自分の事業を広げるため。案件を受けるだけの働き方から一歩出て、事業として何かを積み上げたいと考えたとき、個人事業のままでは動きづらい場面が出てきます。法人にしておくほうが、取引の面でも動きやすくなります。
ここで正直に書いておくと、法人化がすべての人にとって得になるわけではありません。法人には赤字でも払う税金がありますし、社会保険への加入義務も発生します。決算の手間も個人事業とは比較になりません。
どの売上規模で法人化すべきかは、経費の構成、家族構成、今後の事業計画によって変わります。数字だけで決められる話ではないので、必ず税理士に相談してから判断してください。僕もそうしました。
ただ、年商2000万円を目標に置くなら、法人化という選択肢が視界に入ってくることは知っておいて損はありません。
年収2000万円を目指すときに注意したいこと
売上を伸ばす話と同じくらい、伸ばした後に守る話も見ておきましょう。
高収入でも案件が途切れるリスクはある
単価が高くても、収入が安定するとは限りません。むしろ高単価案件ほど、契約終了のインパクトは大きくなります。
想定しておきたいリスクはこのあたりです。
注意ポイント
・案件終了による無収入期間
・市場の変化による案件数や単価の低下
・体調不良やケガで稼働できなくなる
・特定の取引先への依存
・案件を抱えすぎたことによる品質低下
特に最後の1つは、複線化を進める人が陥りやすい落とし穴です。収入源を増やすことと、案件を詰め込むことは別物だと考えてください。
納税・社会保険料の資金は分けて管理する
所得が増えると、税負担も国民健康保険料も上がります。しかも支払いは、稼いだタイミングより後にやってきます。
入金された金額を全部使えるお金だと思っていると、翌年の納税で確実に苦しくなります。売上・経費・納税用の資金は口座レベルで分けておくのが、いちばん確実な自衛策です。
小規模企業共済やiDeCoのように、一定の要件のもとで所得控除を受けながら将来に備えられる制度もあります。ただし使える制度も適切な金額も人によって違うので、ここも税理士に相談しながら組むのが安全です。
掛け持ちに「居続けない」
ルート2で案件の掛け持ちを紹介しましたが、注意点も書いておきます。
単価が上がらないとき、稼働日数を増やすほうに手が伸びます。分かりやすいですし、すぐ売上に反映されますから。掛け持ちは実際に効きますし、短期で実績と資金を作るには合理的な手です。
問題は、そこに居続けてしまうことです。稼働時間には物理的な上限があります。仮に稼働を1.5倍にできたとしても、そこで打ち止めです。しかも体調を崩した瞬間に全部止まります。
年商2000万円を「一度でも達成する」なら掛け持ちで届きます。でも「毎年その水準を保つ」となると、「どれだけ長く働くか」から「1時間あたりの価値をどう上げるか」へ発想を移す必要があります。
掛け持ちで作った実績と資金を、単価の引き上げか、案件以外の収入源に変換していく。掛け持ちは通過点であって、着地点ではないと考えてください。
まとめ:年収2000万円は「単価×役割×収入源」の設計で決まる
フリーランスエンジニアの年収2000万円は、到達している人がいる一方で、案件を長時間こなすだけで届く水準ではありません。
年商2000万円は月商約167万円。この数字を1本の案件で取りにいくのか、案件を掛け持ちするのか、案件以外の収入源で組み立てるのかで、必要な準備がまったく変わります。そして調査データを見る限り、高収入層ほど取引先を複数持っているという傾向がはっきり出ています。
加えて、売上2000万円はそのまま残るお金ではありません。経費・税金・社会保険料、そして消費税の納税まで含めて、手元にいくら残るかを設計するところまでがセットです。
ポイント
・年収2000万円=年間売上2000万円。手取りではない
・年商2000万円は月商約167万円。11か月稼働で考えるなら月182万円
・単価は「技術力」より「代替の難しさ」で決まる
・月167万円を1本より、月170万円を複数の収入源で作るほうが現実的
・案件の掛け持ちは最短で効くが、通過点であって着地点ではない
・売上が伸びたら、法人化という選択肢も視野に入ってくる
最後に、今日から動ける6つのステップを置いておきます。
1. 今の月単価と月167万円の差を数字で出す
差が30万円なのか80万円なのかで、打つ手はまったく変わります。
2. 今の案件で「一段上の役割」が取れないか考える
設計、要件定義、技術選定、チームリード。単価を動かすのはここです。
3. 自分の経験で狙える案件単価を調べる
相場を知らないまま交渉しても、条件は引き出せません。
4. 掛け持ちを考えるなら、先に契約書を読む
競業避止条項と秘密保持条項。ここを確認してから動いてください。
5. 案件以外の収入源を1つ考えてみる
技術顧問、研修、執筆、個別サポート。既に持っているものを別の形で売れないか。
6. 経費と納税を含めた年間の収支を把握する
売上目標だけ立てても、残るお金は増えません。
いきなり2000万円を狙う必要はありません。今の自分から一段上げることを積み重ねた先に、その水準があります。僕自身もまだその途中です。

独立の全体像をまとめました
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